ヘルパーつらいしきついけど嫌いじゃない

在宅の知的障害者の日々のヘルパーとして思うこと。

2012年9月号

軽い記事を書くとすぐにダークサイドにおちる私。

当事者と接しているとたまらなくイライラすることがある。食べ方が汚いとか、ものの無駄遣いとか、他人にちょっと迷惑かかるとか、些細なことで。

 ああいう類いのイライラってなんなんだろう。こう、実際喋ってる時に噛み合わなかったりしてイライラするのは、対人関係の中で対当事者に限らず誰でもあるもんだから普通のことかと思うんだけど。

 あの一般的な「常識」から外れた行動をとられた時のイラっと感。だいたいは笑って済ませられるんだけど、たまにどうしようもなく負の感情を抱く。

 自分がそれなりに「常識」の中で生きてるからかなぁ。妬み?人に迷惑をかけちゃいけませんとかそういう「社会常識」「モラル」がすっかり内面化された私から、一見するとわがままに生きている当事者への妬みだろうか。

 そうそう「わがまま」。私当事者に対して「なんでそんなにわがままなんだ!!」とキレたくなる時があるのだ。いや、行動には出さないものの心の中ではブチギレる時がある。だけどその後落ち着いてから「きっとわがままじゃないんだよなぁ、なんか本人にとってひっかかるものがあったんだろうなぁ」とも思ったりする。それで「わがままとか思っちゃいけないよな、こんなふうに当事者に対してわがままだなんて思ってキレるの私だけなんだろうか・・・」ってどんどん暗くなってく思考の流れがよくある。

 そんなある日ヘルパーの仕事をしていたら当事者のお母さんがやって来たことがあった。とりあえず当事者の様子を伝えるとお母さんはサラッと穏やかに「ごめんねぇ~わがままな子で」と言った。

 ・・・わがままって思っても良かったのか!や、もちろん同じ「わがまま」でも私とお母さんとでは言葉の重みが全然違うのだろうけど。けど、当事者に対して「わがまま」だと感じる自分を否定することもなかったのかもという気がしてちょっとスッキリした。

 なんかそういう、「わがままだなぁ」「いやそんなこと思っちゃいけない!」っていうせめぎ合いもイライラの要因かもなぁ。

 妬みとか、妬んでる自分への苛立ちとか、そのせめぎ合いとか。他には何があるんだろうなぁ、イライラの理由って。キレちゃう度に、「自分に迷惑をかけられたわけではないのになんでこんなにムカつくんだろうなぁー」と不思議に思う。正直言ってしまえば、私の感覚的には、当事者が興奮して家のものを壊そうがそれの修理にどんだけお金がかかろうが私が一旦このヘルパーという仕事から離れてしまえば全く関係ないことなのだ。そう思って、「私には関係ないことだからキレる必要ないよ」って自分を落ち着かせる。それでも気が収まんなくて嫌味みたいに当事者に「こういうことするなんてほんと嫌だなぁ」なんて言ったりする。

 うわぁ嫌な人。よくTクラブスタッフで話し合う時に、「当事者のつらさに目を向けられないヘルパー」とか「どうでもいいことでキレるヘルパー」とか話の中に出てきて私以外の二人とも呆れてるんだけど、別に私も根っこの部分はそういう人と変わんないんだ。あんまり態度・行動に出ないだけで。もっと言えば、虐待するような施設職員とも根本的には変わらないんだろうな。

 ってことに最近気付きました。今までの人生でここまで嫌な人っぷりが露呈されたこと無かったので自分に向き合うのがつらい。だからやっぱり目を背けちゃう。そんな今日このごろです。

 

今でも、こういう、自分に特に害を与えられるわけではない、常識を逸脱した行為へのイライラはたまにある。特に、こっちが疲れてるとそういうのでイライラしちゃう気がする。今はただ、冷めた目でことが終わるのを見守ってるけど、あの感情はなんなのかなぁと思う。

 

 「わがまま」とかについては、「ほんと、こういうとこ性格悪いよねー」と、他のヘルパーと当事者について話してしまうぐらいにはなりました。でもなんか、思っても良いし、言っても良い方が、心の衛生的にとっても良い。そうやってイラっとしたエピソードを笑い話にしてから家に帰った方が、引きずらなくて良い。だから、仕事を続けるために、当事者に対して負の感情を持っても、否定しないで、みんな似たようなもんだと思ってほしい、な。